着るクーラーの効果はどれほどあるのか。熱中症や脱水症状対策・予防になるのか解説します。
前提として、医療器具ではない
大前提として、市販されている「着るクーラー」は医療器具としての認定を受けていません。そのため熱中症や脱水症状対策や予防効果を謳うことが出来ません。
各社の公式サイトにも「熱中症対策として使用いただくものではありません」と書かれています。
冷たさを感じることはできる
以上をふまえた上で解説します。
着るクーラーはペルチェ素子という仕組みを利用することで、本体のアルミプレート部分の温度が物理的に下がります。触れると保冷剤のように冷たく感じます。
このアルミプレートを体に当てることで、凍った保冷剤を体に当てるのと同じように、熱を帯びた個所を冷やす効果が期待できます。
「冷感素材」のように体温を奪うだけではなく物理的に冷たくなるので、バッテリーが続く限りは冷たさが持続します。冷感素材は体から冷感素材の方に熱を奪うことで涼しく感じる仕組みであるため、長時間触れ続けていると熱の移動が止まることで冷たさを感じなくなりますが着るクーラーではバッテリーが続く限りは冷却が持続します。
繰り返しになりますが、法律による規制の関係で熱中症対策効果を謳うことは出来ませんが、保冷剤のように冷たさを感じることが出来ます。ただし、ルームエアコンのようなパワーは無いので着るクーラーを使うだけで炎天下で長時間作業しても熱中症を防げると考えない方が良いです。桜が満開の時期の室内で使うと、「なんとなく」寒さを感じる程度です。
暑い時の作業が少し楽になる程度のイメージを持っておくとよいでしょう。
着るクーラーの冷たさはどれくらい?
機種にもよりますが、冷却部分に触れた時の体感温度はケーキなどを買うと付いてくる保冷剤に近いレベルです。かなりひんやりと冷たいです。
メーカーのデータを見ると、表面温度は21度程度とされているので温度自体は保冷剤には及びませんが、バッテリーが続く限りは外気温よりも低い温度を作り出すことが出来、冷たさを感じることが出来ます。
ちなみに、冷えピタなどの冷却ジェルシートは気化熱で体の温度を外に逃がす仕組みで、貼った部分の皮膚の温度が2度程度下がるとされており、体の深部温度を下げる効果は無い(つまり熱中症対策効果は無い)という研究結果もあります。着るクーラーは一部のメーカーが深部体温を下げる効果を謳っており、それが事実であれば熱中症対策に一定の効果があるということになります。